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2010年11月
34巻4号



pdf 全体
3968KB
第32回日本基礎老化学会シンポジウム
 プログラム (pdf 904KB)
 発表抄録 (pdf 868KB)

総説
 老化や疾患における骨格筋の萎縮と治療への応用  
     上住聡芳、中谷直史、常陸圭介、土田邦博 (pdf 1172KB)

総説
 アセチルコリンのルーツと非神経性アセチルコリン  川島紘一郎 (pdf 1860KB)

総説
 老化遺伝子clk-1の哺乳動物における機能  高橋真由美、白澤卓二 (pdf 1267KB)

トピックス
 老化と再生-老化マウスからiPS細胞の樹立  
     磯部健一、Zhao Cheng、伊藤佐知子、西尾直美 (pdf 1246KB)

学会報告
 “2010 Spring Conference of the Korean Society for Gerontology and 10th Korea-Japan Gerontologist Joint Meeting”に参加して  遠藤昌吾 (pdf 947KB)

学会報告
 10th Korea-Japan Gerontologist Joint Meetingに参加して  森 秀一 (pdf 947KB)

随筆
 老化研究事始め------化学物質で寿命延長の時代なのか ?  三井 洋司 (pdf 1038KB)


 基礎老化学会サーキュラー 第87号 

老化や疾患における骨格筋の萎縮と治療への応用

上住聡芳、中谷直史、常陸圭介、土田邦博
藤田保健衛生大学・総合医科学研究所・難病治療学研究部門

要約
老化や難治性筋疾患等に伴って、骨格筋は形態的変化および機能低下が生じる。老化では特に速筋型のタイプII筋線維の萎縮が顕著に見られ、脂肪沈着や繊維化が見られる。骨格筋の再生を担うのは筋衛星細胞であるが、老化に伴い、筋再生能力の低下を来たす。近年、骨格筋量調節因子であるマイスタチンやアクチビンの機能制御により、筋萎縮が防げる事が明らかとなってきた。マイスタチン阻害によって、筋萎縮の防止、繊維化の抑制、体脂肪量の減少、脂肪肝抑制が期待されており、老化、筋疾患、悪液質への応用も現実味を帯びてきた。更に、脂肪細胞の起源に関する研究に近年大きな進展があり、骨格筋内の異所性脂肪変性を担う細胞群や脂肪組織での脂肪産生細胞の起源が明らかとなってきた。本総説では、老化、筋疾患等に伴って生じる筋萎縮の病態と治療法開発の現状、そして、脂肪細胞の起源と異所性脂肪変性に関する最新の知見を筆者らの研究を中心に紹介する。

キーワード:sarcopenia, muscle atrophy, myostatin, muscular disease, ectopic fat formation

アセチルコリンのルーツと非神経性アセチルコリン

川島紘一郎
武蔵野大学薬学研究所

要約
Acetylcholine (ACh) は「神経活動の化学伝達」メカニズムの発見に係わった物質であることから,神経伝達物質として広く知られている.しかしながら,AChは,ほぼすべての生物に,また哺乳動物の様々な非神経性細胞と組織にも存在し,局所的な細胞間の情報伝達に関与し,様々な生理的役割を果たしている可能性が明らかになってきた.すなわち,神経伝達物質としてのAChは,多様な役割のうちの一側面に過ぎない.ここでは,まずAChが神経伝達物質として認定されるまでの歴史的展開を総説した.次に,哺乳動物の非神経性細胞と組織におけるAChの存在とその役割に関する研究を紹介した.さらに真正細菌,始原菌(古細菌)および真核生物などの各種生物におけるAChの存在,ACh産生能および役割に関する知見を展望した.これらの知見から,AChはほぼすべての生物に存在しており,細胞間情報伝達物質として広範な役割を担っている可能性が考えられる.

キーワード:acetylcholine, mAChR, nAChR, ChAT, SLURP

老化遺伝子clk-1の哺乳動物における機能

高橋真由美1、白澤卓二2
1東京都健康長寿医療センター研究所・老化制御研究チーム・分子老化制御
2順天堂大学大学院 医学研究科・加齢制御医学講座

要約
clk-1遺伝子は線虫の長寿命変異体の原因遺伝子として同定された。変異したclk-1遺伝子が機能喪失することにより、clk-1変異線虫は発生や運動リズムが遅延し寿命が延長する。clk-1遺伝子産物はミトコンドリア呼吸鎖の電子伝達体であるユビキノン(コエンザイムQ:CoQ)の合成酵素である。またCoQはATP産生と同時に活性酸素の最大の発生源であり、老化制御に深く関わっているとされる。本稿ではclk-1欠損マウスを用いた研究を中心に、哺乳動物における生体リズムや老化の制御におけるclk-1遺伝子のかかわりについて紹介する。

キーワード:clk-1, coenzyme Q, mitochondria, apoptosis, ultradian rhythm


2010年9月
34巻3号



pdf 全体
3537KB
総説
 高齢期からの運動による心臓・血管への効果と分子機序  家光 素行 (pdf 1142KB)

総説
 運動処方を核にした健康長寿社会の構築 ー「松本市熟年体育大学」事業の挑戦ー
     能勢 博、森川真悠子、山崎敏明、根本賢一、増木静江、岡崎和伸、
     上條義一郎、源野広和 (pdf 1306KB)

総説
 男性骨粗鬆症  森 聖二郎 (pdf 961KB)

トピックス <日本基礎老化学会第33回大会奨励賞受賞者>
 癌抑制・細胞老化因子ARFが引き起こす血管新生抑制及び疾患との関わり
     川岸 裕幸、丸山 光生、高木 正稔、杉本 昌隆 (pdf 1261KB)

トピックス <日本基礎老化学会第33回大会奨励賞受賞者>
 マウス老化アミロイドーシスにおける熱ストレス反応の役割; HSF1ノックアウトマウスを用いた解析
     銭 金澤、弘瀬 雅教、王 耀勇、張 倍茹、付 笑影、澤下 仁子、
     張 鵬尭、友澤 寛、森 政之、中井 彰、樋口 京一 (pdf 1114KB)

トピックス <日本基礎老化学会第33回大会奨励賞受賞者>
 アドレノメデュリン-RAMP2システムによる血管恒常性維持と発生および老化の制御
     小山 晃英、新藤 隆行 (pdf 1175KB)

学会報告
 日本基礎老化学会第33回大会を終わって  磯部 健一 (pdf 1221KB)

随筆
 老化研究事始めー低カロリー効果, 日本人での検証は?  三井 洋司 (pdf 1123KB)


 基礎老化学会サーキュラー 第86号

高齢期からの運動による心臓・血管への効果と分子機序

家光 素行
立命館大学・スポーツ健康科学部

要約
加齢に伴い、心臓・血管の機能は低下し、心血管疾患の罹患率を増大させる。その予防策の一つとして、習慣的な運動が注目されている。運動による心臓・血管の機能、形態、代謝への改善効果には、様々な分子制御により、関連する遺伝子やタンパク発現の調節が行われていることが考えられるが、その分子機序の詳細は不明である。しかしながら、近年、老齢ラットを用いた高齢期からの運動トレーニングによる検討より、(1)心収縮能の改善に甲状腺ホルモン受容体によるミオシン重鎖や筋小胞体Ca2+-ATPaseの遺伝子発現増大の関与、(2)心収縮に必要なエネルギーを産生する機能の改善にPPAR-αによるβ酸化の酵素遺伝子の発現増大の関与、(3)酸素供給に必要な毛細血管の血管新生能の改善に血管内皮細胞増殖因子(VEGF)のシグナルカスケードの関与、(4)動脈硬化の抑制に内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)やエンドセリン-1による内皮機能改善の関与が報告されている。このように、運動による心臓や血管への刺激が、機能、形態、代謝のそれぞれに関連する分子制御(遺伝子やタンパクの発現調節)の変動を促すことによって、高齢期からの運動効果に関与していると考えられる。

キーワード:加齢、運動トレーニング、心臓、内皮機能

運動処方を核にした健康長寿社会の構築
-「松本市熟年体育大学」事業の挑戦―

能勢 博1,2、森川真悠子1,2、山崎敏明3、根本賢一4、増木静江1、岡崎和伸5、上條義一郎1、源野広和2,3
1信州大学大学院医学系研究科・スポーツ医科学分野
2熟年体育大学リサーチセンター
3キッセイコムテック(株)
4松本大学・人間健康学部
5大阪市立大学・都市健康・スポーツ研究センター

要約
不活動は糖尿病、循環器疾患、うつ・認知症、がんの原因となり、これらを不活動症候群と呼ぶ。運動は不活動症候群の予防に有効ある。しかし、現在、不活動症候群の運動指針は十分ではない。その理由は運動指導効果に関する体力・疾患・体質別のデータベース(DB)がないからである。我々は①インターバル速歩トレーニング、②携帯型カロリー計、③e-Health Promotion Systemによって、少人数の専門スタッフで大勢を対象に実施できる遠隔型個別運動処方システムを開発した。これによって蓄積されるDBを用いれば、不活動症候群の疾患ごとに有効な予防・治療のための運動指針が提供できると考える。


キーワード:インターバル速歩、携帯型カロリー計、e-Health Promotion System、体力向上、生活習慣病予防

男性骨粗鬆症

森 聖二郎
東京都健康長寿医療センター

要約
男性では、骨粗鬆症の罹患率ならびに骨折発生率は、女性の約3分の1と推計される。しかし、骨折後の死亡リスクの上昇ならびに生活障害の度合いは、男性が女性より深刻である。男性では、加齢に伴う海綿骨の減少は主として骨形成の低下によりもたらされ、骨梁の菲薄化が生じるものの、骨梁の数ならびに骨梁の連結状態は比較的維持される。対照的に閉経後女性では、海綿骨の減少は主として骨吸収の亢進によってもたらされ、骨梁の数の低下、骨梁の連結状態の喪失、さらには骨梁穿孔が生じる。骨梁の菲薄化(男性型)も骨梁の数の減少(女性型)も、ともに骨密度の低下をもたらすが、後者の方がより甚大に骨強度を損なうことが、女性が男性に比較して骨折頻度が高くなる理由の一つと考えられる。男性では加齢に伴い、血中遊離エストロゲンも遊離テストステロンもともに有意に減少するが、骨量の減少は主としてエストロゲンの減少によりもたらされている。ビスフォスフォネート製剤あるいはPTH製剤の骨密度増加効果はほぼ女性と同等であり、椎骨骨折の予防効果を示唆する報告も少数ながらみられる。

キーワード:osteoporosis, fracture, estrogen, testosterone


2010年5月
34巻2号



pdf 全体
47277KB
第33回日本基礎老化学会大会案内 (pdf 1134KB)

参加者・発表者へのご案内 (pdf 941KB)

会場案内 (pdf 617KB)

プログラム (pdf 5671KB)

発表抄録 (pdf 39954KB)
 シンポジウム
 口頭ワークショップ
 ポスターワークショップ


 基礎老化学会サーキュラー 第85号


2010年2月
34巻1号



pdf 全体
2060KB

総説  
 記憶のスーパーマウスが教える記憶障害治療へのアプローチ  遠藤昌吾 (pdf 1043KB)

総説
 加齢に伴う侵害受容機構の変化  鈴木郁子、岩田幸一 (pdf 951KB)

総説
 ゼブラフィシュがもたらす発生生物学と老化生物学の新しい接点  貴志周司 (pdf 913KB)

トピックス
 加齢に伴って増加するPD-1陽性Tリンパ球の正体は?  
    猪股光司、嶋田有紀子、林 昌美、岩下淑子 (pdf 928KB)

随筆
 老化研究事始めーーー大学病院がカロリー制限食で奮闘  三井洋司 (pdf 1042KB)

お知らせ
 第33回日本基礎老化学会大会のご案内  磯部 健一 (pdf 854KB)


 基礎老化学会サーキュラー 第84号

記憶のスーパーマウスが教える記憶障害治療へのアプローチ

遠藤昌吾
東京都健康長寿医療センター研究所・老化制御研究チーム

要約
行動や思考に必須な記憶は、古くから哲学そして心理学の研究対象であった。しかし、記憶が脳に存在する事が明らかにされたのはわずか60年前である。記憶が生物学の研究対象となり、記憶を支える脳の柔軟性(可塑性)の存在が科学的に証明されたのは30年ほど前である。その後、分子生物学の急速な発展に伴い各種の遺伝子改変マウスを用いて記憶や神経可塑性の分子機構に迫る事ができるようになった。本総説では、はじめに過去にさかのぼり哲学における記憶研究の歴史、心理学における記憶の基礎概念について述べる。そして、現在行われている遺伝子改変動物を用いた記憶の研究について、我々が最近発見した記憶が増強された遺伝子改変マウスについて述べる。最後に、記憶が増強されたマウス(スーパーマウス)が、老化や疾病等による記憶障害治療のカギとなりうる事を議論したい。

加齢に伴う侵害受容機構の変化

鈴木郁子、岩田幸一
日本大学歯学部・生理学教室

要約
老齢ラットを用いて侵害性行動、脊髄後角(DH)および三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)に分布する侵害受容ニューロン活動について解析し、成熟ラットと比較したところ、以下のような結果を得た。1)侵害的熱刺激に対する四肢のひっこめ反射が起こるまでの時間は老齢ラットにおいて有意に短かった。これに対し、熱刺激後に誘導されるリッキング行動の発現率は老齢ラットにおいて有意に少なかった。2)DHに分布する侵害受容ニューロンの安静時および侵害刺激中の活動は老齢ラットにおいて有意に高い値を示した。3)DH侵害受容ニューロン活動は脊髄ブロックにより、成熟ラットでは増大したのに対し、老齢ラットにおいては全く変化を示さなかった。4)成熟ラットでは、ナロキソン投与により活性型のVc侵害受容ニューロン数が増加したのに対し、老齢ラットにおいては変化が認められなかった。
以上から、老齢ラットにおいては下行性抑制系の機能不全が誘導され、DHおよびVcに存在する侵害受容ニューロン活動が増強し、侵害性反射が亢進した可能性が示された。

キーワード:Pain, aging, descending inhibitory system, nociceptive neuron

ゼブラフィシュがもたらす発生生物学と老化生物学の新しい接点

スクリプス研究所・代謝加齢研究部門、ハーバード大学医学部・眼科学部門
貴志周司

要約
発生と老化という一見対峙するかに思える現象の背後には共通の分子が似通った機能、もしくは異なった機能をもって働いている可能性が存在する。我々は、小型の淡水魚であるゼブラフィシュを用いて、初期発生と老化の両過程に存在する関連制御機構を解析する研究を進め、初期胚で起こる『老化』(“胚老化”)の表現型を指標に変異体の単離と責任遺伝子の同定を行ってきた。それらの遺伝子の中には、加齢にともなう実際の老化と関連が既に示唆されているものも存在したが、多くは未だ具体的な老化現象との関連が示されていない遺伝子である。生理的老化は単一の遺伝子変異により引き起こされるよりは、複数の遺伝子が巧みに絡み合い、外的環境との歪みとして生じると理解することもできる。本来は予期せぬ遺伝子が老化の現象と過程を担っていることもありうる。では、複数の相互に絡み合うそのような遺伝子群を無作為かつ迅速に検出し、同定することは脊椎動物で可能なのであろうか。 小型魚類、とりわけゼブラフィシュは、おそらくこの事を現実的に可能なものとし、網羅的な老化関連遺伝子と低分子化合物の探索、及び表現型の解析を同時遂行することができる唯一の実験用脊椎動物モデルに成りうるであろう。