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学会誌

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2007年11月
31巻4号



pdf 全体
8750KB
総説:
タバコ煙によるダイオキシン受容体の活性化 -加齢性喫煙関連疾患におけるMissing Link- 北村正敬 (pdf 1354KB)
総説:
運動ホルミシスと抗老化  後藤佐多良 (pdf 991KB)
トピックス:
生存曲線の新しい解析法とその意味するもの  須田斎  (pdf 657KB)
随筆:
老化研究事始め------若い人の挑戦に期待して  三井洋司  (pdf 413KB)
学会報告:
第30回日本基礎老化学会大会を終えて  丸山直記  (pdf 157KB)

附:
基礎老化学会サーキュラー 第76号

タバコ煙によるダイオキシン受容体の活性化-加齢性喫煙関連疾患におけるMissing Link-

北村正敬
山梨大学大学院医学工学総合研究部 分子情報伝達学講座

要約
タバコ煙中にはダイオキシン受容体(芳呑族炭化水素受容体)を活性化する物質が高レベル含まれており、マウスに能動喫煙および受動喫煙をさせた場合には生体内のダイオキシン受容体の 活性化が観察される。ダイオキシン受容体が持続的に活性化しているトランスジェニックマウスは、有害物質への曝露なしに発癌・炎症・免疫異常等の病態を自然発症することが知られている。 また活性化されたダイオキシン受容体が特異的に結合する遺伝子配列は多くの炎症関連遺伝子の制御配列に存存しており、ダイオキシン受容体の活性化により炎症性サイトカイン、サイトカイ ン受容体、ケモカイン等の発現が誘導されることも明らかにされている。これらの事実は、喫煙者において加齢とともに高率に発症する種々の疾患、中でも発癌や炎症関連の病態である慢性閉 塞性肺疾患および動脈硬化等の発症に、タバコ煙によるダイオキシン受容体の活性化が寄与している可能性を示唆する。

キーワード:タバコ煙、ダイオキシン応答配列(DRE)、ダイオキシン受容体(芳呑族炭化水素受容体、AhR)、DRE-based sensing via secreted alkaline phosphatase(DRESSA)

運動ホルミシスと抗老化

後藤佐多良
東京都老人総合研究所・順天堂大学スポーツ健康医科学研究所

要約
激しい急激な運動は大量の活性酸素(ROS)の過剰産生などによって身体に有害である一方で、穏やかな定期的運動(身体活動)は健康維持や疾病の予防など、多くの有益な効果があるとされ ている。とりわけ中高齢期の定期的身体活動は老化関連病を予防し、QOLの維持・改善に役立つことが注目されている。そのメカニズムは十分に明らかになっていない。我々はその解明を目指し た研究を行ってきた。その結果、中齢・高齢ラットの脳あるいは肝臓のタンパク質あるいはDNAの酸化傷害は定期的水泳あるいはトレッドミル走行によって軽減すること、酸化タンパク質の分 解酵素プロテアソームあるいはDNA酸化塩基8―オキソグアニン除去修復酵素OGG1が活性化していること、還元型グルタチオンが増加するとともに転写因子NF一κBのDNAエレメントヘの結 合性が低ドすることなど、が判明した。これらの結果および他の研究者の知見から運動には適度なROS産生が関わるホルミシス効果があり、これが全身的抗老化作用メカニズムの中核になって いるという仮説を提唱した。

キーワード=定期的運動、抗老化、活性酸素、ROS、酸化傷害、ホルミシス


2007年9月
31巻3号



pdf 全体
6033KB

追悼文:
松尾光芳先生を偲ぶ  金子孝夫 (pdf 155KB)
総説:
活性酸素種に対する細胞応答に関わる遺伝子群について  長岡利栄 (pdf 979KB)
総説:
植物エストロゲンによる細胞老化・個体老化制御の可能性  岡田悦政 岡田瑞恵 (pdf 382KB)
トピックス:
ES-TRAP 法:小胞体ストレスの継続的かつ非侵襲的なモニタリングシステムの確立  平松伸彦 北村正敬 (pdf 386KB)
トピックス:
加齢性筋委縮と骨格筋幹細胞  町田修一  (pdf 209KB)
トピックス:
初代培養系海馬神経細胞の試験管内老化  山口(白石)陽子 森望 (pdf 584KB)
随筆:
老化研究事始め------若い人の挑戦に期待して  三井洋司  (pdf 134KB)
学会報告:
第36回American Aging Association 学術集会参加記  下川功  (pdf 143KB)
研究室紹介:
東京都老人総合研究所 健康長寿ゲノム探索チーム  (pdf 267KB)
附:
基礎老化学会サーキュラー 第75号

活性酸素種に対する細胞応答に関わる遺伝子群について

長岡利栄
武蔵野大学 薬学部 医薬品情報学教室

要約
活性酸素種(ROS)による生体傷害の蓄積は老化の主要因のひとつであり、癌、動脈硬化、神経変性疾患を始めとする様々な疾病との関連が報告されている。細胞レベルでは、ROSによる傷害 の程度に応じて増殖の一時停止や傷害の除去修復といった生存のための適応反応、あるいは細胞死が引き起こされる。前者は幹細胞、生殖細胞のみならず心筋、神経細胞など増殖能を失った体 細胞の維持に必須であるし、後者は重要ながん抑制メカニズムである。近年、これら細胞応答の異常と疾病との関わりを示す報告が増えた。また、RNA干渉技術の発展によって、ROS応答に関 与する遺伝子の網羅的スクリーニングを哺乳類細胞で行うことも可能となった。これらの研究は、細胞のROS応答がどのように制御され、時として疾病の発症や進行に関わるのか、といった疑問 への理解を深めてくれるであろう。

キーワード:活性酸素種、酸化ストレス、線維芽細胞、RNAiスクリーニング、老年性疾患

植物エストロゲンによる細胞老化/個体老化抑制の可能性

岡田悦政1,岡田瑞恵2
1愛知県立看護大学  健康管埋・基礎老化研究室
2Yms Laboratory Nutrition section

要約
女性が男性よりも長生きであることは、強い抗酸化力を持つエストロゲンが埋出の一つであると考えられている。近年、エストロゲンは細胞内のレセプターを通して老化による脳の機能的変 化を調節していること、また、肝細胞においてはエストラジオールがテロメアの短縮を抑制するという報告がある。一方、食用植物出来の植物エストロゲンは、エストロゲン様の働きを持ち、そ の構造はエストロゲンに類似している。それらは、ガン、心臓疾患、脳機能、骨粗鬆症、閉経後の症状に対して抑制的に働くことが広く知られている。植物エストロゲンは、エストロゲンと同 経路によって、同様な抑制機能を発揮する。老化とともに低下してくるエストロゲンの機能を植物エストロゲンで安全に補うことが可能であれば、細胞/個体老化抑制への可能性もある。木稿で は、植物エストロゲンと細胞/個体老化抑制の可能性を探るべく、老化抑制とエストロゲンの関連から概説する。

キーワード:細胞老化、個体老化、エストロゲン、植物エストロゲン、interleukin-6(IL6)


2007年5月
31巻2号



pdf 全体
4409KB
第30回日本基礎老化学会 (pdf 903KB)
 開会ご挨拶
 会場案内
 参加者・発表者へのご案内
 スケジュール一覧表

 プログラム:
 合同会行事
 口頭発表
 ポスター発表

抄録: (pdf 2745KB)
 特別講演
 話題提供
 韓国老化学会メンバーによる発表
 合同ポスター発表
 ポスター発表

基礎老化学会サーキュラー 第74号


2007年2月
31巻1号



pdf 全体
4163KB
総説:
免疫系老化と神経系による調節について  細川友秀 (pdf 565KB)
総説:
Propargylamine化合物の神経保護効果、寿命延長効果の分子メカニズム  丸山和佳子 (pdf 248KB)
総説:
F344/N備考  田中愼 、西島和俊、大野民生、宮石理 (pdf 1124KB)
総説:
高血圧の遺伝子解析  田原康玄、三木哲郎 (pdf 716KB)
トピックス:
RNAiと老化研究  本田陽子 (pdf 189KB)
随筆:
基礎老化研究あれこれ(10)  白澤卓二 (pdf 377KB)
学会報告:
インド老年学会訪問  丸山直記 (pdf 239KB)
お知らせ:
第30回日本基礎老化学会ご案内 (pdf 90KB)
附:
基礎老化学会サーキュラー 第73号

免疫系老化と神経系による調節について

細川友秀
京都教育大学 教育学部 生命・環境科学講座

要約
免疫系は骨髄の造血系幹細胞から新生して機能し死滅する多様な細胞で構成される。そのため、分裂加齢の影響を受けやすいと考えられるが、免疫系構成細胞の前駆細胞を新生する幹細胞自体 の機能は分裂加齢の影響を受けないようにみえる。免疫系老化の基本的な原因は、各細胞共通の前駆細胞から機能的成熟細胞を新生するための骨髄や胸腺の微少環境が加齢変化することである と思われる。加齢の影響は適応免疫系を構成する、丁細胞とB細胞の新生に顕著にあらわれ、自然免疫系の細胞新生は比較的影響が少ない。このような違いは、適応免疫系の細胞新生が抗原レセ プターのための遺伝子再編成の過程を経て行われることと深く関係していると思われる。最後に神経系による免疫老化の抑制の可能性について考察した。

Keywords: immunosenescence,neuroendocrine,macrophage,inflammation,microenvironment

Propargylamine化合物の神経保護効果、寿命延長効果の分子メカニズム

丸山和佳子
国立長寿医療センター 老年病研究部

要約
propargylamine化合物であるselegiline[(-)deprenyl]はB型選択的かつ非可逆的モノアミン酸化酵素阻害剤として初めてヒトに使用された薬剤である。近年、第二世代の同種薬剤として rasagilineがパーキンソン病患者に使用が開始された。propargylamine化合物の一部は酵素阻害とは独立した神経保護作用および寿命延長作用をもつことがin vitro、in vivoの実験で示されて いるが、その作用メカニズムの詳細は明らかでなかった。筆者らの研究成果により、rasagilineの神経保護作用には1)ミトコンドリアに直接作用し、膜電位低下を抑制する抗アポトーシス作用、 2)ストレス関連転写因子活性化を介する遺伝子発現制御作用が存在することが明らかとなった。本化合物による寿命延長作用が神経保護作用と同様の機序によるのか否かについては今後の研究 が必要である。

キーワード: 寿命、モノアミン酸化酵素、神経保護、propargylamines、ストレス関連転写因子

F344/N備考

田中愼・西島和俊・大野民生(*)・宮石理轍(**)
国立長寿医療センター 研究所 加齢動物育成室
(*)名古屋大学大学院医学研究科
(**)中部労災病院

要約
1,はじめに
講義で板書がされなくなって久しい。学生時代の実験動物の講義で近交系マウスの一つをBALB/cと書かれる先生と、Balb/cと書かれる先生が居られた。日本の実験動物近代化の祖のお一人とされる近藤恭司先生[11,12,19,21,22,23]は、後者の先生をしてイギリスヘ留学されたんですね、とおっしゃった。ちなみに、わが国の実験動物の近代化運動は東京大学伝染病研究所(東京大学医科学研究所の前身)へ近藤先生が安東洪次先生と田嶋嘉雄先生を訪ねられたことに始まるとされており、実験動物の根幹をなす、統御の必要性・微生物学的統御・遺伝学的統御の選遁と言われている[10,11,12,19,23]。 近交系を含め系統の名称は、3文字のアルファベット大文字で表記し、系統の特性(その系統の個性、特徴や来歴など)が反映されたもの、と規約はうたっている。 BALB/cは、アメリカOhio州の動物ディーラーが持っていたBagg's albinoから近交系が育成されたことにちなんで命名された。Bagg'sのaからalbinoのaを重ねて、短縮形としinoをとり、アルビノであるのでスラッシュで区切ってその遺伝子記号であるcを付したわけである。このとき規約通りスラッシュより前を総て大文字表記としたのが日米であった。これに対して英国ではalbinoに注目し、これをcの内容を指すものとして小文字とした。このため前記のように二通りの表記がまかり通ることになった。英国の雑誌に投稿し、当惑された読者がいらっしゃるのではないだろうか。 長期に生存することで知られる近交系、CBAのCは、BALB/cのcを大文字としたものであり、BAはDBA/2のBAに由来している。DBA/2は世界初の近交系であるが、そのDよりアルファベット順では前のCを充てたことは母親をBALB/cとしたことによるのか、あるいは米国人のユーモアなのかもしれない。CBAという系統名から、これがBALB/cの祖先系であるBagg's albinoとDBA/2の祖先系であるddbbaaの交雑から育成されたことがうかがわれるのは、系統の選択を考えるときの助けとなる。 本稿が扱う、近交系ラット、F344/Nにあっては、Fが購入されたブリーダーのFischerにちなみ、その344番目のつがいの子孫で近交系を育成できたことを意味している[14]。系統名から実際の使用の助けとなるような情報の提供というかその残し方が提案できたら、と考えている。 本稿を起こす機会とご配慮を下さった本誌編集委員の先生方、種々お教えをいただきました先生方に心から感謝いたします。お名前を挙げたいのですが、容量との関わりで"方"という表現をお許し下さい。

高血圧の遺伝子解析

田原康玄1)・三木哲郎2)
1)愛媛大学大学院医学系研究科統合医科学講座
2)愛媛大学大学院医学系研究科生命多様性医学講座加齢制御内科学

要約
いくつかのメンデル型遺伝様式をとる遺伝性高血圧/低血圧については、原因遺伝子と疾患の機序とが明らかにされてきた。一方、多因子疾患としての高血圧(本態性高血圧)については、その 頻度や高い臓器障害性から精力的に感受性遺伝子解析が行われてきたものの、未だ普遍的に感受性を示す遺伝因子は得られていない。従来、数個の影響力の強い遺伝因子が血圧を支配している と考えられていたが、現在では、個々の遺伝因子の影響力はかなりマイルドであり、それらが集積し、かつ環境因子との複雑に交絡したアウトプットとして血圧が規定されると考えられている。 大規模な〝ゲノム疫学〟サンプルを用い、〝ゲノムネットワーグ〟として疾患の遺伝的背景を明らかにする取り組みが、現在も精力的に行われている。

Key words: 遺伝性高血圧・低血圧、本態性高血圧、原因遺伝子、ゲノムスキャン、候補遺伝子解析