Powered by Google

  

学会誌

>>BackNumber のTopへ

BackNumber>>2002年



2002年5月
26巻2号
【巻頭言】
小泉昭夫

【第一部】
第24回日本基礎老化学会シンポジウム抄録
巻頭言 ポストゲノム時代の老化研究:老化のBioinformatics 小泉昭夫
ポストゲノム時代の老化研究:老化のBioimfornatics
1.老化とユビキチン・プロテアソームタンパク質分解系 高橋良哉
2.ER stressの生化学的機構 –インスリン変異体を発現する膵β細胞をモデルとして- 久保田広志
3.ER stressと疾患 親泊政一
4.ER stressとfolding異常 吉永侃夫
老化の最先端
1.SAMマウスを用いた老年性疾患発生機構の解析 細川昌則
2.遺伝子と老化、老化関連疾患 鍋島陽一

【第二部】
総説
カロリー制限による抗老化、寿命延長機構 下川 功
老化に伴うドパミン神経細胞死 丸山和佳子
線虫C.エレガンスの長寿命変異 本田陽子、本田修二
随筆
老化研究30年をかえりみて 木谷健一
学会報告
韓国基礎老化学会印象記 石井直明
2002 Conference of the Society of Korean Gerontology
(Korea-Japan Gerontologists Joint Program)に参加して 戸田年総
書評
寿命をのばす5つの方法 佐藤秩子
老化時計—寿命遺伝子の発見 安藤 進

カロリー制限による抗老化、寿命延長機構

下川 功
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 医療科学専攻 病態解析制御学(旧医学部病理学第一)

要約
カロリー制限ほど、広範囲な動物に抗老化、寿命延長効果をもたらす実験的介入方法は知ら れていない。この総説では、カロリー制限における筆者の理解と興味、最近のいくつかのトピック について概説する。この効果の機構は、無脊椎動物を用いて分子レベルで解明されつつある。カ ロリー制限(Calorie restriction, CR)の効果が広範囲な動物に存在することを考えると、霊長類に も相同な機構が存在することが期待される。この機構の解明と、CR を模倣する方法の開発は、ヒ トの老化を制御し、少なくとも健康寿命を延長することを可能とするであろう。このような意味にお いて、CR モデルは実験老化学において重要な役割を果たす実験モデルであると考えられる。

キーワード:calorie restriction, evolutionary hypothesis, neuroendocrine signals, energy metabolism, stress response

老化に伴うドパミン神経細胞死

丸山和佳子
長寿医療研究センター 老化機構研究部 生化学・代謝研究室

要約
ヒト脳神経細胞の中でもドパミン神経細胞は最も老化に対して脆弱である。その原因はドパミン 代謝に伴う酸化ストレスに恒常的に曝されていることと、その結果としてミトコンドリア傷害が蓄積 していることである。ミトコンドリアを構成するDNA およびタンパクに酸化修飾が引き起こされ、そ の機能に障害を及ぼす。ミトコンドリアの呼吸鎖からのラジカルの漏出が増加すると同時に、ATP 生成が低下する。酸化修飾タンパクはタンパクのユビキチンープロテアゾーム系により分解され るが、ミトコンドリアが障害されるとこの分解系は十分に機能しない。そのためさらに変性タンパク が増加し、小胞体ストレスを引き起こす。一方ミトコンドリアのアポトーシス機構が酸化ストレスに より活性化される。老化に伴う神経細胞死を防御するためには抗酸化薬、あるいはミトコンドリア の細胞死シグナルを制御する薬剤の開発が必要である。

キーワード:apoptosis, dopamine neuron, mitochondria, oxidative stress, Parkinson's disease

線虫C.エレガンスの長寿命変異

本田陽子 本田修二
東京都老人総合研究所 老化レドックス制御研究グループ

要約
線虫C.エレガンスでは野生体に比べて寿命が長く老化速度が遅い長寿命変異体が多数単離 されている。その責任遺伝子やそれらと相互作用をする遺伝子、発現が調節される遺伝子など の解析がなされてきた。それらは、環境状況を察知するシステムに関わるもの、それらの情報の 伝達に関わるもの、ストレス制御に関わるもの、生殖系、エネルギー産生系など多岐に渡る。こ れらの研究から老化が引き起こされる機構や生体の持つ老化を防御する機構の一端が解明さ れつつある。これらの寿命に関わる線虫の個々の遺伝子は高等動物でも保存されているものが 多く、これらの機構は種を越えた共通の寿命の調節機構を含んでいる可能性がある。

キーワード:life-extension mutation, Caenorhabditis elegans, daf-2, clk-1, sod-3