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学会誌

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 学会誌「基礎老化研究」バックナンバー公開のお知らせ
     現在、1977年以降の発行分について全文、1977年第1巻~2016年第40巻3号の「基礎老化研究」
     ならびにシンポジウム「老化の基礎的研究」講演記録の1975年から1979年分 (第1回から第8回)
     pdfファイルにて公開しております。
     なお、現在2016~2018年分は学会員限定にて公開しております。

      

 投稿規程  この雑誌について

2018年


2018年9月
42巻3号



(学会員限定)
pdf
3.3MB
目次  (pdf 126KB) (学会員限定) 

第39回日本基礎老化学会シンポジウム (pdf 1.4MB) (学会員限定) 

名誉会員寄稿文
 『知るは力なり』
 丸山 直記 (pdf 925KB) (学会員限定)

特集企画「発生工学の老化・疾患研究への応用」 (pdf 658KB) (学会員限定)

総説
 iPS 細胞を用いた神経変性疾患研究の応用・展開
 佐俣 文平、髙橋 淳 (pdf 785KB) (学会員限定)

総説 
 老年性筋疾患研究におけるiPS 細胞の利用とその有用性
 細山 徹 (pdf 813KB) (学会員限定)

総説 
 マウス発生工学の技術革新
 平手 良和 (pdf 844KB) (学会員限定)

総説 
 遺伝子改変を可能とする発生工学技術の歴史と進展
 徳永 暁憲 (pdf 1MB) (学会員限定)

奨励賞トピックス 
 キイロショウジョウバエにおいて食餌制限は、dMyc を介して腸管バリア機能維持と
 寿命延伸に寄与する
 赤木 一考 (pdf 794KB) (学会員限定)

奨励賞トピックス 
 ミトコンドリア調節能からみたりんごプロシアニジンの生理作用
 増田 功、小池 正人、中島 翔平、水谷 由布、小澤 裕介、渡辺 憲史、野尻 英俊、
 指原 浩一、横手 幸太郎、清水 孝彦 (pdf 897KB) (学会員限定)

奨励賞トピックス 
 カロリー制限による白色脂肪組織の代謝リモデリングとその制御因子
 小林 正樹、樋上 賀一 (pdf 847KB) (学会員限定)

大会報告 
 第41 回日本基礎老化学会大会を振り返って
 樋上 賀一 (pdf 972KB) (学会員限定)

学会報告 
 第41 回 基礎老化学会大会に参加して
 篠崎 昇平 (pdf 799KB) (学会員限定)

iPS 細胞を用いた神経変性疾患研究の応用・展開

佐俣 文平、髙橋 淳
京都大学iPS 細胞研究所 臨床応用研究部門

 中枢神経の障害をきたす神経難病は治療困難な症例が多く症状緩和が主体となっている。これらの疾患は加齢とともに発症頻度が増すことから、超高齢化社会を迎える現在その治療法の開発が急務となっている。神経変性疾患のなかでもパーキンソン病は細胞移植の歴史が最も長く、胎児組織の移植によって長期にわたる運動機能の回復が期待できる。iPS 細胞の誕生によって移植細胞の制約が無くなり、理論的には目的の細胞を十分量得られるようになった。さらに疾患特異的iPS 細胞を利用することで病態メカニズムの解明や創薬開発等の新しい研究アプローチも発達してきた。このようにiPS 細胞がもたらす恩恵は極めて大きく、再生医療は大きなブレークスルーを迎えている。そこで本項では、iPS 細胞を用いたパーキンソン病治療に焦点を当てて神経変性疾患における応用とその展開について概説する。

キーワード:神経変性疾患、iPS 細胞、細胞治療

老年性筋疾患研究におけるiPS 細胞の利用とその有用性

細山 徹
国立長寿医療研究センター 再生再建医学研究部

 超高齢社会を迎えた我が国において、加齢性筋萎縮「サルコペニア」に対する予防法・治療法の開発は喫緊の課題である。しかし、臨床からの概念であるサルコペニアの基礎的な理解は進んでおらず、発症機序を含むサルコペニアの本態解明が強く望まれる。一方で近年、加齢に伴う骨格筋幹細胞の維持機構の破綻とサルコペニア発症との関連性が指摘されており、本態解明の標的の一つとして注目されている。しかしヒトにおいては、バイオプシーによる筋採取では得られる骨格筋幹細胞はごく微量であり、詳細な解析は困難である。自己細胞から作製されるiPS 細胞は標的細胞を比較的大量に供給することが可能であり、希少な骨格筋幹細胞の詳細な解析を可能にすると期待されている。本項では、ヒト骨格筋幹細胞の供給源としてのiPS 細胞の可能性について概説し、サルコペニアの本態解明におけるin vitroモデルとしてのiPS 細胞由来骨格筋細胞の可能性について考察する。

キーワード:sarcopenia, skeletal muscle stem cells, induced pluripotent stem cells, stem cell maintenance

マウス発生工学の技術革新

平手 良和
国立大学法人東京医科歯科大学統合研究機構実験動物センター

 マウスは古くから研究に供されてきた実験動物であり、基礎医学研究における哺乳類のモデル生物としてその重要性は今後も変わることはないだろう。ゲノム編集法の急速な発展により遺伝子改変体を容易に作製できるようになったが、その発展を縁の下で支えているのは発生工学技術である。本稿では発展著しい最新のマウス発生工学技術について概説する。取り上げる技術は“超”過剰排卵誘起法、発情周期の同調法、胚凍結、精子凍結、精巣上体尾部および胚の冷蔵輸送、そしてトリプルCRISPR である。これらの新技術により遺伝子改変体の作製が促進され、系統保存の信頼性が向上し、輸送手段は多様化した。これらはみな完成度の高い技術であるが、難易度が高いわけではなく導入障壁は比較的低い。各研究機関の動物実験施設でマウスの発生工学に携わる技術者は新しい技術を積極的に取り入れ、技術革新の恩恵を研究者に還元してほしい。

キーワード:ultra-superovulation, synchronization of estrus cycle, cryopreservation, transportation at a cold temperature; triple CRISPR

遺伝子改変を可能とする発生工学技術の歴史と進展

徳永 暁憲
福井大学ライフサイエンス支援センター・生物資源部門

 発生工学技術の進展に伴い、細胞のみならず生体レベルで遺伝子機能を解析する事が可能となり、これまでは主に遺伝子ターゲッティング法を用いた遺伝子改変マウスの作出を通じて生体恒常性や疾患に関わる個々の遺伝子に関する機能の検証が進められてきた。しかしながら、従来法では胚性幹細胞(ES 細胞)での相同組換えおよびES 細胞由来のキメラマウスの産出が必要となるため、生体リソースでの研究はマウスなど一部の生物種に限定されていた。近年のCRISPR/Cas9 を利用したゲノム編集技術の登場によってその様相は一変し、生物種や細胞種を問わず遺伝学的解析が可能となったことで、発生・老化研究などの生体を対象とする生命科学研究分野において革新的な技術展開が予想されている。また食料品の品種改良や資源エネルギーなど幅広い分野への技術応用も期待されており、本稿ではこれまで発生工学技術がどのようなブレイクスルーを通して発展してきたのかその歴史を概説すると共に、様々な研究分野において今後の貢献が期待される最新のゲノム改変技術を紹介する。

キーワード:TALEN、CRISPR/Cas9、相同組換え、非相同末端結合、マイクロホモロジー媒介末端結合

2018年5月
42巻2号

第41回(2018年)日本基礎老化学会大会号

「基礎老化研究からトランスレーショナルリサーチへ」
 プログラムを会員限定で公開しています。

 pdf  5.6MB

2018年1月
42巻1号



(学会員限定)
pdf
4.4MB
目次  (pdf 101KB) (学会員限定)

特別表彰寄稿
 糖鎖研究を通してみたもの:O-Man型糖鎖と筋ジストロフィー
 遠藤 玉夫 (pdf 2.0MB) (学会員限定)

特集企画「体性感覚と老化の生理学~「痛み」を中心に~」について (pdf 608KB) (学会員限定)

総説
 筋・筋膜の痛みの末梢性メカニズムと老化
 水村 和枝、田口 徹 (pdf 1.1MB) (学会員限定)

総説
 TRP チャネルと慢性痛  中川 貴之 (pdf 874KB) (学会員限定)

総説
 エストロゲンと痛み-疼痛処理機構へ及ぼすエストロゲンの影響-
 田代 晃正 (pdf 755KB) (学会員限定)

総説
 高齢者における疼痛コントロール:感覚情報伝達調節と老化
 堀田 晴美 (pdf 860KB) (学会員限定)

シンポジウム報告記
 「老化研究」を秋の京都で議論しました。
 近藤 祥司 (pdf 645KB) (学会員限定)

学会報告
 The 21st IAGG World Congress of Gerontology and Geriatrics
 (IAGG2017 in San Francisco)
  石井 恭正 (pdf 878KB) (学会員限定)

日本基礎老化学会の歴史
 日本基礎老化学会 40年の歩み (pdf 656KB) (学会員限定)


糖鎖研究を通してみたもの:O -Man 型糖鎖と筋ジストロフィー

遠藤 玉夫
東京都健康長寿医療センター研究所

 本年第107 回日本学士院賞を「福山型筋ジストロフィーを含めた糖鎖合成異常症の系統的な解明と新しい糖鎖の発見」という研究題目で神戸大学(現東京大学)戸田達史教授と共同受賞しました。さらに日本基礎老化学会理事長特別表彰をいただいたことは大変光栄に存じます。今回編集委員会からこれまでの研究内容について執筆の機会を与えていただいたことに感謝申し上げます。本稿では約20 年に渡る糖鎖研究の歴史と最新の研究成果を紹介させていただきます。

キーワード:Glycobiology, O -mannose glycan, ribitol-phosphate, Fukuyama-type muscular dystrophy, glycosyltransferase

筋・筋膜の痛みの末梢性メカニズムと老化

水村 和枝1、田口 徹2
1中部大学・生命健康科学部・理学療法学科、
2新潟医療福祉大学・医療技術学部・理学療法学科

 本稿では、筋・筋膜性疼痛の末梢機構に焦点を当てる。まず痛み情報を伝える侵害受容器と機械非感受性受容器も含めた各種受容器の同定法を紹介する。次に筋・筋膜性疼痛のモデルであるラット遅発性筋痛モデルでは、筋において神経成長因子とグリア細胞由来神経栄養因子が増大し、それが細径線維受容器の機械感受性を増大させるため、筋機械痛覚過敏が生じたことを紹介する。加齢ラットでは皮膚の機械感受性細径線維受容器数が減少し、残存受容器の機械感受性は低下していたが、疼痛行動レベルでは変化はなかった。筋では加齢により細径線維受容器の機械反応が増大したが、行動レベルで疼痛閾値に差はなかった。皮膚と筋での受容器反応と疼痛行動レベルでの加齢による変化の違いは、受容器数の変化や下行性抑制系の変化なども関係している。遅発性筋痛は加齢により痛覚過敏の持続期間が長くなった。加齢により筋損傷を起こし易く、治癒が遅れるのが原因であろう。
 
キーワード:muscle, fascia, pain, hyperalgesia, nociceptor, aging

TRP チャネルと慢性痛

中川 貴之
京都大学医学部附属病院薬剤部

 TRP チャネルは非選択的カチオンチャネルの一群で、細胞内外の環境変化を感知するセンサーとして機能しており、その生理的役割は多岐に渡る。痛みとの関連では、TRPV1、TRPA1 等のサブタイプが一次感覚神経で侵害受容器として機能しているだけでなく、皮膚や免疫細胞など非神経細胞にも存在し、痛みの発生や慢性化に関わっている。組織の炎症や神経損傷が生じると、免疫細胞等から放出された炎症メディエーターが神経炎症応答を惹起し、TRP チャネルの機能を亢進することで一次感覚神経の過敏化(末梢感作)を誘導する。さらに、脊髄ではグリア細胞の活性化等により脊髄後角神経の過敏化(中枢感作)が発生し、痛みが増強、慢性化されるが、これらの過程にもTRP チャネルが関与する。特に高齢者では、神経炎症応答の増強、長期化や他の原因によりTRP チャネルの機能が亢進し、痛みやしびれが発生、慢性化しやすい状況となっている可能性がある。

キーワード:chronic pain, TRP channel, reactive oxygen species, sensitization, aging

エストロゲンと痛み-疼痛処理機構へ及ぼすエストロゲンの影響-

田代 晃正
防衛医科大学校 生理学講座

 女性の一生は、女性特有のホルモンサイクルによってライフステージが分かれている。そのため、それぞれの年代で健康課題が異なる。末梢組織に明らかな傷害や炎症が観られない慢性疼痛は、エストロゲン変動が大きな年代(性成熟期〜更年期)に多く観られる。この慢性疼痛は様々な因子によって起こるとされているが、その一つにエストロゲンの中枢神経系への影響があげられる。そこで、本総説ではエストロゲンの疼痛処理機構への影響を概説し、最後に老年期の女性の痛みについて考察する。
 
キーワード:estrogen, chronic pain, dorsal horn, nociceptive processing, endogenous pain controls

高齢者における疼痛コントロール:感覚情報伝達調節と老化

堀田 晴美
東京都健康長寿医療センター研究所 老化脳神経科学研究チーム 自律神経機能研究

 高齢者では、慢性的な組織変性や疾患の増加に伴い、疼痛の有訴率が増加する。高齢者における痛みの治癒は依然として難しい課題である。可能な限り多剤服用を避け、物理療法や運動療法などを駆使することが重要である。薬物および運動療法・物理療法・心理療法などの非薬物療法はいずれも、種々の内因性疼痛調節系を作動させることで、痛みの緩和をはかる。しかし近年の研究で、内因性疼痛調節系の働きのいくつかは、老化により低下することが示された。今後、その機序を明らかにすることで、より効果的で安全な高齢者の疼痛コントロール方法が示されるものと期待される。

キーワード:疼痛制御、高齢者、タッチ、侵害刺激